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本当のエッチング(フォトエッチング)加工と拡散接合を知る|匠の加工  »  拡散接合(熱圧着)  »  拡散接合と温度の関係

拡散接合と温度の関係

目次

ここでは金属を接合させる方法のひとつである「拡散接合」について解説します。

拡散接合がどのような加工方法であるかを解説するとともに、拡散接合と温度の関係性についても紹介します。

温度によってどのような違いがみられるのかを知っておくことで、金属加工を行う際に

幅広い選択肢を持つことができ、より目的に応じた製品を製造することができるでしょう。

拡散接合とは

拡散接合は一部の業界で「熱プレス」とも呼ばれる接合法であり、金属同士を接合させる方法の一つです。この拡散接合は、JIS規格(JIS Z 3001)において「部材の融点以下の温度条件で、塑性変形をできるだけ生じない程度に加圧して、接合面間に金属結合を実現して接合する方法」と定義されています。

金属板同士を加熱しながら接合したい箇所をプレスし、接着剤などに頼ることなく直接かつ確実に接合することができる方法であり、金属板同士の変形をできるだけ抑えつつ接合できることから微細な形状をした部品や複雑な内部流路を持つ製品の製造などに適しています。

拡散接合と温度の関係

拡散接合による金属の接合温度は、定義にも書かれている通り金属の融点よりも低い温度となっています。

拡散接合は金属を密着させ、相互の金属間に原子の拡散現象を起こすことで接合する接合方法ですが、一般的に金属の表面は酸化被膜で覆われており、この酸化被膜が接合を阻害します。この酸化被膜は金属を真空で加熱することで消失させることができ、その温度は、ステンレス鋼や炭素鋼は700℃以上、チタンでは500℃、銅では400℃と金属によって異なります。

酸化被膜が消失することで、金属間の原子の拡散現象が発生することから、これが拡散接合を可能とする温度の目安となります。

金属の融点より低い温度で接合することによって「溶かさない」という特徴を活かすことができ、精度の求められる製品や微細なサイズの部品などといった製品にも適応することができます。

【匠の加工独自取材】
アロン社に聞く
拡散接合と温度の関係
Q1 拡散接合を行ううえで、
温度はどれぐらい重要なのでしょうか?
アロン社 技術開発部佐々木課長の画像
アロン社
技術開発部
佐々木課長

拡散接合を行ううえでの重要な要素はいくつかありますが温度は接合強度を左右する特に重要な要素です。

単純に言えば温度は高い方が原子の移動量が増えやすく、より強い接合力を得ることが出来ます。その反面、温度が高いと金属がやわらかくなり変形しやすくなります。

当社で拡散接合を導入した最大の理由は、エッチング(フォトエッチング)加工で製作した微細な形状をそのまま生かせることにあります。金属を溶かさず、接着剤など他のものを介在させず接合できる拡散接合はエッチング(フォトエッチング)加工品との相性が抜群です。

Q2 御社が拡散接合を採用した理由が良く分かりました。
実際どのぐらいの温度で接合されているのですか?
アロン社 技術開発部佐々木課長の画像
アロン社
技術開発部
佐々木課長

ざっくり言えば金属の融点付近という感じです。そのため、金属によって接合温度は異なります。

また前述したように、当社ではエッチング(フォトエッチング)加工で作った微細な形状を接合しており、その形状によっても温度が変わる場合があります。

単純な金属のブロックを接合して欲しいというのであれば、溶けない範囲でとにかく温度を上げればよい。という考えも出来ますが、当社で行っているような微細な形状の場合、形状を保ちつつ、接合力も確保できる最適な温度を見つけることが重要であり、そのノウハウによって品質が大きく左右されます。

まとめ

拡散接合はここまで説明した通り、金属同士を接合させる方法の一つです。金属を特定の状況下に置いた時、互いの原子が行き来する(拡散)のみで一体化するものが拡散接合であると言われており、「熱圧着」とも呼ばれることがありますが厳密にいうと異なるものであるというのがアロン社の見解です。

ただ一般的には「金属同士を加熱してプレスし結合すること」を拡散接合と呼びますし、JIS規格においてもその定義は明確に定められています。しっかりと拡散接合と温度の関係性を知ったうえで素材に適した加工方法を模索してください。

当サイト【匠の加工】は、「エッチング(フォトエッチング)加工と拡散接合」専門会社であるアロン社の取材協力の元、川嶋印刷株式会社が運営しています。