薄板金属の精密加工に有用な加工方法であるエッチング(フォトエッチング)加工。ここではエッチング(フォトエッチング)加工の標準加工精度や寸法公差について紹介します。
エッチング(フォトエッチング)加工の最小パターン・最小開口寸法・加工精度などは、加工する金属素材板の厚みに大きく左右されます。材料が厚いと加工時間が長くなる傾向にあり、寸法のコントロールが困難になっていきます。
エッチング(フォトエッチング)加工の加工寸法精度は一般的に板厚の±10%程度とされています。材料が0.5mmtであれば±0.05mmの寸法公差を設定します。薄ければ薄いほど精度が良くなるというわけでなく、±0.01mm程度で頭打ちになることが多いようです。
エッチング加工可能な材質、板厚、最大加工サイズの一例は以下の通りです。
材質 | 厚さ(mm) | 最大加工サイズ |
---|---|---|
鉄 | 0.01〜2.0 | 300×500 |
銅 | 0.01〜2.0 | 400×600 |
ステンレス | 0.005〜3.0 | 800×1,000 |
KOVAR | 0.05〜1.0 | 300×500 |
42アロイ | 0.03〜1.0 | 800×1,000 |
アルミ | 0.01〜2.0 | 800×1,000 |
珪素鋼板 | 0.1〜0.5 | 400×500 |
銀 | 0.01〜0.2 | 150×350 |
MO | 0.05〜1.0 | 200×300 |
チタン | 0.01〜1.0 | 200×300 |
アモルファス | 0.01〜0.1 | 200×350 |
エッチング(フォトエッチング)加工は加工の特性上、材質と板厚により寸法と公差が決まります。
厚さ(t) | 穴の最小寸法(D) | 公差 |
---|---|---|
0.01mm | テスト加工 | テスト加工に基づく |
0.02〜0.05mm | テスト加工 | テスト加工に基づく |
0.1mm | 0.1mm | ±0.01〜0.02mm |
0.15〜0.2mm | 0.15〜0.2mm | ±0.02mm |
0.25mm | 0.25mm | ±0.03mm |
0.5mm | 0.4mm | ±0.05mm |
通常、エッチング(フォトエッチング)加工による穴径は板厚より小さくすることができません。
一般的には板厚の110%程度が最小加工寸法となります。
また、残し幅の最小寸法は板厚の50~100%です。板厚により若干異なります。
エッチング(フォトエッチング)加工では、その特性上、内角や外角にRがつきます。
Rは板厚に伴って変わり、外角よりも内角の方が大きくなります。
一般的には内角は板厚の80%、外角は板厚の50%以下が目安です。
また、貫通させた断面にはサイドエッジと呼ばれる突起が生じます。
その突起の高さは板厚および加工方法によって変わり、両面エッチングの場合は板厚の20%程度、片面エッチングの場合は板厚の40%程度が目安となります。
エッチング(フォトエッチング)加工についての詳しい解説はこちら
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