ニッケル(Ni)は原子番号「28」の遷移元素の金属で、元素記号での表示は「Ni」です。その埋蔵量は世界的にも多くなく、「レアメタル」に分類されています。
そして「ニッケル合金(ニッケル基合金)」とは、ニッケル(Ni)と、異なる金属とを合金した材料のうち、ニッケルの成分比が50%を超えているものです。
このニッケルを使用したもののなかで、日本人がとくに身近に接しているのは硬貨です。50円玉・100円玉・500円玉は、ニッケルと銅の合金からできています。
ちなみにアメリカの5セント硬貨にもニッケルが使用されていて、アメリカ人の会話のなかで「ニッケル」は5セント硬貨を意味するそうです。
こうした硬貨のほかにも、スマートフォンや自動車、さらには医療分野や建築分野など、実に幅広い分野においてニッケルを含む材料は使用されています。
ここでは、エッチング(フォトエッチング)加工・拡散接合の専門会社であるアロン社に取材した内容をまとめました。
ニッケルの大きな特徴として、ほかの金属に比べ“錆びにくい”というものが挙げられます。
海水や淡水に対しても耐腐食性を発揮します。
錆びてしまっている50円玉や100円玉、500円玉をあまり見かけないのも、この錆びにくい性質が理由です。
また、ニッケルは熱に強い特性も持っています。
ニッケルにチタン、コバルト、クロム等を配合した合金は1000℃もの高温にも耐える高い耐熱性があり、航空機のガスタービンなどには必要不可欠な材料となっています。
なお、高温だけでなく低温に対しても優れた耐熱性を発揮します。
さらに、ニッケルは電気磁気特性もあるため、電磁干渉の遮蔽目的で使用されることも少なくありません。
そのほか、加工のしやすさや、銀色に輝くきれいな光沢なども特徴のひとつです。
以上のように優れた耐食性や耐熱性を備え、過酷と言える環境にも耐えるパワーを持つニッケル合金は、これからも幅広い分野で活躍し続けるでしょう。
なお耐用年数も長いほか回収・リサイクルして再利用できることも、ニッケルが注目される理由のひとつと言えます。
ニッケル合金はその種類が膨大で、数千種に及ぶとも言われています。
それぞれに特性があるため、用途に合わせて選択されます。
以下に、代表的なニッケル合金の種類をいくつかピックアップしました。
それぞれの種類について簡単に特徴をまとめたので、参考にしてください。
99%以上がニッケルからなる純金属を、純ニッケルと言います。
アルカリ溶液などに対しても高い耐食性を発揮することから、とりわけ化学分野においては選定候補として多く選ばれます。
「ニッケル」と「鉄」で構成される合金がニッケル鉄合金です。
たとえば半導体の分野においては、ニッケル含有量が35〜80%の「パーマロイ」、鉄に36%のニッケルがプラスされた「インバー」、42%のニッケルがプラスされた「42アロイ」等が該当します。
「銅」を含むニッケル合金を、ニッケル銅合金と言います。
銅が配合されることで、ニッケルの耐熱性や耐食性に、強度や耐摩耗性がプラスされます。
これにより、海水を含む配管としても活用されています。
ニッケルにクロムをプラスした金属を、ニッケルクロム合金と言います。
その用途は、たとえばクロムを約10〜30%プラスしたものは高い耐熱性があるため電熱線として使われます。
またネジも、ニッケルクロム合金の「ニクロム」「インコネル」などが材料となっています。
メタル(金属)エッチング(フォトエッチング)加工
についてもっと詳しく
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アロン社によるニッケルの
エッチング(フォトエッチング)加工
数多くのエッチング(フォトエッチング)加工製品を手がけているアロン社でも、ニッケル系を依頼されるケースは、それほど多くないそう。
温度による変化が少ない、熱をかけたときに伸びが少ないニッケルの特性を利用した用途に主に用いられるとのこと。
錆びにくさ自体はステンレスと同等程度のため、エッチングの難易度が高いということはありません。
03-3453-3037
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