銅(Cu)は、私たちの生活や産業において欠かすことのできない非鉄金属材料のひとつ。
優れた性質を持っており、各種電子製品や自動車、建設、化学、食品などさまざまな分野で活用されています。
エジプトの古墳(紀元前約400年前)などからも出土されていて、国境を越え長きにわたって使われてきた材料と言えます。
ここでは、エッチング(フォトエッチング)加工・拡散接合の専門会社であるアロン社に取材した内容をまとめました。
銅(Cu)が持つ一番の特徴は、“導電率・熱伝導率に優れている”ということです。
また、加工がしやすい、耐熱性が高い、耐食性が高い、外観が美しいなど、導電率・熱伝導率の高さ以外にもたくさんの性質を持っています。
以下に、これら各特徴について、少しくわしく解説をしていきます。
“導電率が高い”とは、つまり“電気を通しやすい”ということです。
この性質から、銅は電線などに使われています。
また熱交換器や電子機器の材料、冷蔵庫、エアコン、パソコン・携帯電話など、身近な製品にも多く活用されています。
銅の熱伝導率(熱の伝わりやすさ)は、アルミニウムや鉄鋼材料より優れています。
銅鍋が食材を均等に加熱できるのも、この熱伝導率の高さが理由です。
加工性が高いのも銅が持つ特徴のひとつで、とくに圧延加工や切削加工に向いています。
また、メッキやハンダ付けもしやすいです。
銅は柔らかいため変形させやすく、銅線や銅板、銅棒、銅管といった多彩な製品を作ることができます。
さらに、銅は寿命が長い金属のため、歯車やバルブなど、長期間使用することが前提の部品にも多く活用されています。
銅は熱に弱く、200℃を超えると軟化します。
そのため、200℃以下で使われるのが一般的です。
一方、低温による劣化はありません。
非磁性金属である銅は、磁気厳禁とされる電気機器の測定器や、化学工業の防爆用工具などにも使われています。
銅は、殺菌作用を持つことでも知られています。
硬貨に銅が採用されているのも、この殺菌作用が理由のひとつです。
銅は、金色の光沢を持っている金属のため、工芸品などに使用されることも少なくありません。
赤や黄色、白などさまざまな色の種類があり、仕上がりも鮮やかさや光沢感を出すことができます。
なかでも真鍮は高級感があるため人気です。
きちんとお手入れをすることで美しい色合いをキープすることもでき、錆びにくい性質もあるため、製品として長持ちさせることが可能です。
銅は、「純銅」「黄銅」「青銅」「白銅」「洋白」「ベリリウム銅」といった種類に分類することができます。
「純銅」以外はすべて銅合金で、銅に、亜鉛や錫、鉛、アルミ、ニッケルといった素材が組み合わせてあります。
また、銅は製法によっても分類でき、「伸銅品」と「鋳物」があります。
実用上、約90%が伸銅品で、なかでも黄銅(真鍮)が最も多く使用されている材料です。
この黄銅(真鍮)と純銅が、銅需要のほとんどを占めています。
なお、銅はJIS記号においては、銅を表す英語「Copper」の頭文字に4ケタの数字をつけて表示されます(「C2700」「C3604」「C5191」「C7351」など)。
そして合金の種類により、1000系~7000系までに分類されています。
たとえば「1000系」は純銅もしくは銅が多く含まれる合金類、「2000系」は黄銅や丹銅といった銅と亜鉛のCu-Zn系の銅合金です。
メタル(金属)エッチング(フォトエッチング)加工
についてもっと詳しく
当サイト【匠の加工】は、「エッチング(フォトエッチング)加工と拡散接合」専門会社であるアロン社の取材協力の元、川嶋印刷株式会社が運営しています。
アロン社による銅合金の
エッチング(フォトエッチング)加工
銅の導電性を利用したリードフレーム、高い熱伝導率を利用したヒートシンクなどは、代表的な銅製品。しかしながら、銅は変質しやすく比較的やわらかい金属であるため、その点は考慮しておく必要があります。
アロン社では2次加工としての部分メッキや曲げ加工などにも対応しているそうです。
さらに、エッチング後の拡散接合にも対応しているので「何なりとご相談ください」とのこと。
拡散接合についての詳しい解説はこちら
アロン社の銅合金
エッチング製品事例
【写真】ハイブリッド熱交換器 カットモデル。
前述したような、銅の特性をカバーするべく、耐久性の高いステンレスで覆われた熱交換器。エッチング(フォトエッチング)加工と拡散接合の技術を駆使して製造された製品です。
異素材の拡散接合は難易度が高い技術。
アロン社山田社長によると、「100%の仕上がりを常に求める我々の定義では、異素材同士では、『拡散接合ができた』とは言い難い」のだそう。
では何かと言うと、「『熱圧着レベル』にすぎないという判断」。「熱と圧力で便宜上圧着されている。それでも十分だとおっしゃっていただける場合、納品しています。最初から『異素材で100%の拡散接合は難しい』と正直に申し上げることが誠意だと思っています」と語ってくれました。
それほど異素材の拡散接合が難しいのはなぜでしょうか。
拡散接合は、特定の条件下に置いたとき、互いの原子が行き来して一体化するものですが、その「条件」が金属ごとに異なるためです。
たとえば反応が遅い方に合わせてしまうと、遅い方の金属が拡散接合のスタンバイができたころには、もう片方の金属は変形が始まっています。アロン社で言う100%の拡散接合ができない、というのはそういった理由になります。
100%拡散接合できていないと、たとえば大切なものを入れる流路が、圧力によって破壊されてしまう可能性もあるのです。
アロン社では納品してから仕様を後出しするのではなく、可能な限り、事前にそういったことも伝えた上で、作業を進めるのだそう。そこに、「エッチング(フォトエッチング)加工と拡散接合」を専門にしている矜持を感じました。
アロン社の拡散接合に関するこだわりはこちらでも詳しく説明しています。
【写真】フォトマスク(原版)作成工程。
クライアントから提供された図面やデータ通りにフォトマスクを作成すると、加工部分が図面やデータよりも大きくなったり、小さくなったりするようなこともあるため、使う材料によってフォトマスクを補正する必要があります。
アロン社の一関工場のエッチングラインの紹介はこちらで詳しく行なっています。
エッチング(フォトエッチング)加工についての詳しい解説はこちら
03-3453-3037
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