フライパンをはじめとしたさまざまな家庭用品や、各種機械の部品、装飾品など、幅広い用途で使用されている素材「ステンレス(SUS)」。
主成分である鉄(Fe)に、一定量以上のクロムを含ませた、腐食への高い耐性を持った(錆びにくい)合金鋼です。
ISO規格において「炭素」を1.2%(質量パーセント濃度)以下、「クロム」を10.5%以上含む鋼と定義されています。
上で触れたとおり、ステンレス(SUS)は“錆びにくい”という特徴があり、英語名は、“錆びない”を意味する「stainless」が語源となった「stainless steel」です。
ここでは、エッチング(フォトエッチング)加工・拡散接合の専門会社であるアロン社に取材した内容をまとめました。
ステンレス(SUS)の主な特徴は、以下に挙げるとおりです。
ステンレス(SUS)の優れた耐食性(錆びにくい性質)には、添加物の「クロム」が大きく関係しています。
クロムが酸素と結合することで、鋼の表面に「不動態皮膜(酸化被膜)」を形成し、錆びの進行を抑制するのです。
またステンレス(SUS)の優れた耐熱性については、一般的には、500℃ぐらいまでであれば引っ張り強度が落ちることはありません。
なお耐低温特性も高く、使用されている温度域は、−196℃(低温)~1,000℃(高温)です。
ここまでステンレス(SUS)の特徴について解説してきましたが、一口にステンレスと言っても混ぜられる金属の種類や量により細かな特徴・性質は異なり、その種類は200を超えます。
そしてその特徴・性質によって、用途も分けられています。
この膨大な種類のステンレス(SUS)のなかでも、エッチングに使われているのは、主に以下に挙げるものです。
これらを見て分かるとおり、ステンレス(SUS)は下3桁の数字によって分類分けされており、300番台が「オーステナイト系」、400番台が「フェライト系」または「マルテンサイト系」となります。
分類は主要元素(「クロム(Cr)」「ニッケル(Ni)」など鉄に混ぜられる金属)によって行われていて、たとえば300番台のオーステナイト系にはクロムとニッケルが、400番台にはクロムのみが含まれます。
以下に、「オーステナイト系」「フェライト系」「マルテンサイト系」のそれぞれについて、簡単な特徴をまとめました。
「SUS304」などオーステナイト系のステンレスは、延性、靭性に優れているほか、強度、耐熱性も高いのが特徴です。
用途は幅広く、家庭用品、建築用、自動車部品、食品工業、化学工業、合成繊維工業、原子力発電、LNGプラントなどが挙げられます。
「SUS430」などフェライト系のステンレスは、熱処理により硬化することがほとんどなく、焼なまし(軟質)状態で使用されます。
また、マルテンサイト系ステンレスより成形加工性と耐食性が優れており、溶接性も比較的良好です。そのため、一般耐食用として広く用いられています。
例えば厨房用品、建築内装、自動車部品などで、主に薄板および線の形で使用されています。
「SUS410」などマルテンサイト系のステンレスは、焼入れによって硬化する特徴があります。
平鋼、棒鋼の形状で使われることが多く、高い強度や耐食性、耐熱性が必要な機械構造用部品(タービンブレード、ポンプ、ノズル、シャフト等)に使用されています。
メタル(金属)エッチング
(フォトエッチング)加工についてもっと詳しく
当サイト【匠の加工】は、「エッチング(フォトエッチング)加工と拡散接合」専門会社であるアロン社の取材協力の元、川嶋印刷株式会社が運営しています。
アロン社によるステンレスの
エッチング(フォトエッチング)加工
錆びにくい=腐食が緩やかということから、狙い通りのエッチング(フォトエッチング)加工を施しやすいステンレス。全ての面でバランスの取れた金属として、エッチング製品で重宝されています。
アロン社でもエッチング製品の9割程度がステンレス素材のものですが、それ以外を求められるケースもあります。
熱伝導率の高さが求められるようなヒートシンクなどを生産する際に、銅を求められるようなケースです。
アロン社のステンレス
エッチング製品事例
【写真】左から、長尺スリット(SUS304/t=0.2㎜ スリット残し幅0.2㎜)、ハーフエッチング流路(SUS304/t=1.0㎜ ハーフ+貫通エッチング)、ロータリーエンコーダー用ディスク。
フォトマスク作成からの完全⼀貫生産。かつBCPに対応した自社製エッチングラインがあるからこそ、1個~数千万個まで柔軟な生産が可能です。
【写真】エッチング(フォトエッチング)加工に使うステンレスは、コピー用紙程度の薄さがメイン。アロン社では板厚なんと3ミクロンという極薄材からエッチングできます。
エッチングは材料の厚みがあればあるほど時間がかかり、その分エッチングさせる時間が多く必要となるため、費用も高くなります。
アロン社では拡散接合の高い技術を用いて、薄い材料をエッチングした後に拡散接合して一体化させることで、この問題を解決することが可能です。
拡散接合についての詳しい解説はこちら
【写真】現像からエッチング前までの一貫ライン。よく見ると、奥にも同じ装置があるのがわかります。
アロン社がBCP対策に本格的に乗り出したのは5年ほど前(2017年ごろ)。それまでもある程度対応していたそうですが、全ての工程をリスト化し、徹底的に強化したのだとか。
これは、自社で装置を内製するための部署があるからこそ、できることだと言えます。
アロン社の一関工場のエッチングラインの紹介はこちらで詳しく行なっています。
エッチング(フォトエッチング)加工についての詳しい解説はこちら
03-3453-3037
アロン社公式サイトへ